高齢者乗車券問題での虚偽答弁、公共事業の残土処理で市長をただす
日本共産党の倉元達朗市議は2018年9月6日に福岡市議会で一般質問に立ち、高齢者乗車券問題での市の虚偽答弁、公共事業の残土の処理について髙島市長をただしました。
高齢者乗車券の問題について、6月議会で自民党の質問に対して市の保健福祉局長は「現在廃止・削減などといった具体的な検討は行っておりません」と答弁しました。
しかし、市は高齢者乗車券の削減・縮小を想定した調査を民間業者に委託し、現行の高齢者乗車券を利用している人があらかじめ受け取れる1万2000円の補助が半減され4年後には「廃止」と書かれた調査報告書が2018年3月付で市に提出されていた事実が明らかになり、虚偽答弁の疑いが濃厚になりました。
倉元市議がこの事実を突きつけると、保健福祉局長は2017年の11月までは高齢者乗車券のあり方を検討していたことは認めました。
しかし、同年11月に高齢者乗車券制度とインセンティブ制度(ポイントによるほうびを与えて釣るしくみ)を分けて考えることにしたとして、調査報告書はあくまで「最初の段階の基礎的資料」であり「廃止」と書かれた部分は「シミュレーションとして仮置きしたもの」という苦しい言い訳をしました。
調査を委託しておいて、委託の途中で委託方針を投げ捨てる――新資料の発覚につじつまを合わせるための、明らかに不自然な構図が浮き彫りになりました。倉元市議は「分けて考える」という方針変更を議会に一切説明していないではないかと突きつけると、局長は「誤解が生じたのであれば反省すべき点である」としぶしぶ認めました。
倉元市議が謝罪を求めると、荒瀬泰子副市長は「お手数ご心配をおかけしたということで議長にはお詫びを申し上げた」「説明が不十分だったかもしれない」と答弁せざるを得なくなりましたが、「虚偽答弁は行っていない」と強弁しました。
倉元市議は、削減や廃止はやらないのかと確認すると、局長は「現在廃止・削減などといった具体的な検討は行っていない」とくりかえし、またしても「現在」という留保をつけたため、倉元市議は「『現在』はやっていない、だけどその後やる可能性があるということだ」とそのごまかしを暴きました。
倉元市議は他の政令市の10分の1しかない福岡市の制度の貧弱さを紹介し、制度の拡充をするよう求めました。
髙島市長は「虚偽答弁ではない」と言い張った上、制度の拡充は言及せず、「あらゆる分野で制度やしくみを再構築し、持続可能なものにしていく」と削減・廃止に固執する姿勢を示しました。
福岡市の公共事業のうち、人工島での工事やため池の工事での残土(建設発生土)が飯塚市で埋め立てられています。この残土を、野見山産業という業者が埋め立て許可エリア以外に埋め、そのために近隣住民から抗議運動が起きています。
福岡市は残土の処理が適正に行われているかどうかを現地に出かけて監督することになっています。ところが倉元市議の質問で、人工島での工事の残土を監督した道路下水道局は、実際には残土がエリア外に置かれていたのに、許可エリアかどうかを具体的に確認していなかったことが明らかになりました。ため池の残土を監督した農林水産局にいたっては現地に行ってさえいないことが農水局長の答弁でわかりました。
倉元市議の再三の追及で、道路下水道局長は「野見山産業に(事実を)確認し、(土砂埋立処分の許可権限を持つ)福岡県に伝える」と答弁しました。
倉元市議は、同じように、福岡市の指定した処分場以外に持ち込まれる「自由処分」の残土は全体の85%に達するとして、まともな監督もされないルール違反の処分がされている可能性を指摘。髙島市長のもとで特定業者との疑惑がたえないと述べつつ、残土の総点検、チェック機能をつくること、髙島市政の開発優先路線の見直しを迫りました。
中園政直副市長は「適正な処分に努めている」と開き直り、今後とも都市の成長に取り組むとして開発優先路線を続ける姿勢をあらわにしました。