民泊の規制緩和、「レベスタ」改修問題をただす
日本共産党の倉元達朗市議は2016年9月9日、福岡市9月議会で民泊の規制緩和、レベルファイブスタジアムの改修問題について議案質疑を行いました。
高島市長は、国の法令改定などを受けて、市民が住むマンションと民泊との混在を認め、フロントの義務付けをなくすなど、市旅館業法施行条例の改定を提案しました。
倉元市議は、現在市内に「違法民泊」がどれくらいあるのか、市の把握状況を尋ねましたが、保健福祉局長は、全容は不明で「特定できない」などと弁解。ところが、京都市では民泊サイトの運営者を呼び出すなど踏み込んだ調査を行い、1260件の所在地を特定し、1847件で旅館業法の許可を取っていないことを明らかにしています。倉元市議は「雲泥の差だ」と福岡市の対応を批判し、徹底した調査と指導監督を求めました。
また、ホテル・旅館業界が「自分たちは安全のためのコストをかけているのに、不公平だ」と声を上げていることを紹介。民泊の規制緩和は「旅館業の健全な発達を図る」という旅館業法の目的に背くとただしました。
マンションなどでの民泊施設と住宅との混在についても、住環境が破壊されトラブルが多発しかねないと警告し、管理規約などの確認では不十分であり、民泊利用についての住民合意が必要だと提起しました。局長は「住民合意が前提」だと答弁しました。
さらに、今回の条例改定案では、管理事務所を置くなどすればフロントを設置しなくても民泊が認められるようにしていますが、民泊マンションから管理事務所までの距離の目安もないことや、近隣住民への連絡先表示の義務もないことが質疑で明らかになりました。台東区では逆に規制を強化し、フロントの設置義務を設けましたが、倉元市議は、同区の担当者が「離れていてはいざというときに実態に対応できない」と述べていることを紹介し、市の見解を問いました。局長は国の通知をふりかざして「対処できる」と強弁しました。
さらに、これまで市自身がフロントのない偽装ラブホテルを規制対象にしてきたことをあげて、フロントがなくなれば、宿泊者をまともに管理できなくなり、市内で偽装ラブホテルが増える危険があるとただしました。
倉元市議は、市長が「規制を取り払うのが自治体の仕事」と述べていることを批判し、違法民泊を合法化する条例改定案を撤回するよう迫るとともに、国に対し、これ以上の民泊の規制緩和をやめるよう求めよと提起しました。高島市長は、議案撤回は拒否しつつ、トラブルについては「早急に対応する必要がある」と述べざるをえませんでした。また、国に対しては「動向を見据える」として容認する立場を表明しました。
ラグビーワールドカップ開催地に福岡が選ばれたのを機に、レベルファイブスタジアム(レベスタ)の改修費の調査のための補正予算が提案されました。
倉元市議は、有識者などで構成する懇話会に市が出した資料には、現在の収容人数の3倍以上にもなる外国のスタジアムがずらりと紹介されて「世界水準」がテーマとされていることを指摘。規模や税金投入は市民の納得が必要だと述べて、「大規模化を狙っているのではないか」とただしましたが、市民局長は大規模化について否定しました。
レベスタの改修費が大きく膨らみ、市のスポーツ予算を圧迫するようなことがあってはならないと警告するとともに、身近なスポーツ施設の整備予算の抜本拡充を求めました。