2017年9月議会反対討論
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されております諸議案のうち、議案第197号、199号ないし201号、206号に反対し、討論を行います。
まず、議案第197号、2017年度福岡市一般会計補正予算案中、「自動車専用道路アイランドシティ線」に係(かか)る直轄工事費負担金の追加についてです。
今回の議案は、自動車専用道路の港湾整備事業として2017年度当初予算19億2000万円余に対して、国の事業費が増額されたことにともない、本市負担分を当初の6億4000万円から7億5700万円に増額補正するためのものです。
このような事業の枠組み自体が、本市では初めてというきわめて異例のものです。なぜこのような異例の枠組みになったのかといえば、高速道路を無理やり人工島まで延伸させるために、自動車の通行料収入をあてにした従来の負担の枠組みでは整備費がまかなえないからにほかなりません。今回の補正予算案は、その不足分を市が国に頼み込んで直轄の臨港道路で穴埋めし、それに伴って市の負担がさらに増えたために必要になったものであります。
このような異常な枠組みを使っているのは、全国を見渡しても、総事業費2200億円もの高速横浜環状北西(ほくせい)線や、1000億円をつぎ込む北九州市の新若戸道路といった、地域から「ムダづかい」との批判の声が上がっている事業ばかりです。
そもそも人工島への高速道路延伸は、当初250億円といって事業をはじめたものの、瞬く間に292億円と42億円もハネ上がりました。今後、「人件費や資材の高騰」を口実にしてどこまで膨れ上がるかわからない代物です。
よってわが党は、このような人工島事業の破綻救済のための補正を認めるわけにはいきません。
次に、同じく議案第197号、2017年度福岡市一般会計補正予算案中、立地交付金の補正についてです。
今回の補正は、2017年度当初27件、15億6300万円余の交付計画であった同交付金を、46件、23億2500万円余に大幅増額するためのものであります。
立地交付金の建前は、市全体での「企業立地の促進」ですが、髙島市長になってからの実績を見ますと、交付総額の77%が人工島に集中しています。まさに人工島に企業をなんとかして呼び込もうとする「鼻先のニンジン」が立地交付金であります。
人工島に企業がまったく進出しないために、土地単価を大負けし、さらに、余った土地を市が買い取って、市民の反対を押し切りこども病院、青果市場、体育館などの移転を強行してきたのが、人工島事業の歴史でした。
しかも、1社あたり最大30億円もの交付金をつけることで、あたかも人工島に需要があるかのように見せかけているというのが、企業立地交付金のねらいであり実態に他なりません。「人工島には1円も税金は使わない」といって始めたのに、このように税金を湯水のように使うことは許されません。
さらに、市長は企業立地促進条例の施行規則において、正社員の雇用を優遇するように交付金のあり方を改定しました。なんでもいいから雇用を広げるのではなく、安定した雇用こそ広げるべきであることを市長自身が事実上認めたわけですが、立地交付金で呼び込まれた企業の雇用を見てみると、非正規雇用が54%にものぼっています。福岡市の一般的な非正規率が37%であることと比べると異様な非正規の多さです。
立地交付金で呼び込んだ企業の中には、2600万円の交付金を受け取りながら正規がたった5人、非正規が55人にのぼる株式会社花王、やはり交付金を14億7000万円受け取りながら正規は15人、非正規が235人という株式会社アスクルなど、9割前後が非正規というところさえあります。
立地交付金は「経済の活力の維持」や「雇用機会の創出」をするというのが市のふれこみですが、実際には劣悪な雇用を広げているというのが実態ではありませんか。
溝江建設株式会社にいたっては、ただ施設を作って貸すだけで、自身は一人も雇用せず、それなのに7億7600万円の交付金を受け取ることが委員会審議でわかりました。「雇用機会の創出をするから交付金を交付する」という建前さえも、もはや成り立っておりません。
いま名前を挙げた企業は、すべて交付金を受け、人工島に立地する企業であります。
しかも、交付金を渡して人工島に呼び込んだ企業が生み出したとされる雇用は、実は市内から単に移ってきただけで、本当に新たな雇用は「創出」されていないのではないか――こうした我が党の追及に対して、市は調査しておらず、明確な根拠を示せないことも、委員会審議の中で判明しました。
したがって、人工島事業の破綻をとりつくろい、市民生活を貧しくさせている、今回の増額補正、ひいては、このような立地交付金のあり方自体を、わが党は容認することはできません。
以上で、わが党の反対討論を終わります。