経済政策、Jアラート、メディア規制、「慰安婦」少女像問題で市長を追及
日本共産党の倉元達朗市議は福岡市議会12月議会の一般質問で、高島市長の経済政策、Jアラート訓練、メディアへの圧力問題、「慰安婦」少女像と姉妹都市問題について取り上げました(2017年12月14日)。
高島市政の下で市内雇用者報酬や家計の可処分所得、平均給与収入が減少している問題について、倉元市議は「あらゆる指標で市民が貧しくなっていることがわかる」と指摘した上で、市内に本社を持つ資本金10億円以上の大企業30社の内部留保がいくらになっているか追及しました。市側は「把握してない」と答弁しましたが、倉元市議が5年間で合計3339億円も増えていることを示し、「結局、儲かったのは大企業だけ。格差が年々拡大しているのが本市の実態」と述べ、アベノミクスに追随するような経済運営を改めるよう高島市長に求めました。また、市長が突然打ち出した博多駅から北天神までをロープウェイで結ぶ「福岡スカイウェイ構想」についても「莫大な事業費がかかり、大企業が儲かるだけ」と批判しました。市長は「福岡市の経済は成長基調にある」などと市民生活を顧みない答弁をし、今後も開発を進める姿勢を示しました。
福岡市は12月1日、大都市では初めてとなるJアラートを使ったミサイル対応訓練を行っています。この訓練をめぐっては高齢者からは「戦争を想起して不快な気持ちになった」という声が寄せられ、学校現場では子どもたちへの影響とともに混乱や戸惑いが起こっており、倉元市議は検証を求めました。また「訓練をやるなら平和的解決の努力も一緒にやらなければ意味がない」と指摘し、高島市長に対話による平和解決を安倍首相に進言するよう求めましたが、市長は「緊迫する北朝鮮情勢への対応の充実強化を国に要望している」などと述べ平和解決には言及せず、北朝鮮有事を煽る安倍政権追随の姿勢を示しました。
フジテレビが放映した今年3月末に名義貸し屋台の営業許可が切れる店主を追ったドキュメンタリー番組に対し、福岡市はフジテレビに質問状を提出した上、放送倫理・番組向上機構(BPO)に対しても審理・異議申し立てを行ったものの、フジテレビからは回答書で厳重に抗議され、BPOからは申し立てを事実上却下されています。
質問状は、フジテレビに対し放送の中止を求めるなど、実質「抗議文」ともとれるようなものであったことが質問で明らかになりました。同様にBPOへの市の訴えの中身も、ただの言いがかりにすぎず、事実上の放送への圧力であったことが鮮明になりました。
倉元市議は「自分の意見と違う人を煙たがり圧力をかけてつぶそうとする姿勢は安倍首相そっくりだ」と厳しく批判し、「報道に対する公権力の不当な介入、報道の自由を侵害するものであり許されない」と述べ、抗議文と申し立ての撤回を求めるとともに、一連の行為について謝罪し、市民に公表するよう求めました。
市長は「報道の自由は最大限尊重されるべきもの」と述べたものの、「市の対応は適切だった」と答弁、マスコミ出身者とは思えない圧力を正当化する異常な姿勢をあらわにしました。
福岡市と姉妹都市を結んでいる釜山市の日本総領事館前に昨年12月、日本軍「慰安婦」の少女像が設置された問題について、その前後から福岡市は局長の派遣など、9回にわたって釜山市と「協議」を行っています。この中で髙島市長が交流事業について「必要があれば実施を緊急停止できるような連絡体制を図る」などと発言していたことが明らかに。倉元市議は「これは『慰安婦』像を撤去しなければ事業はやめるという圧力ではないか」と追及しました。
倉元市議は「姉妹都市提携は考えの違いをこえて行われるもの」と諭し、このような圧力は長年の関係を壊しかねないと警告しました。
「慰安婦」問題に対する日本政府の「河野談話」について見解を問われた市長は、「慰安婦」像についての日韓合意に関する答弁を繰り返し、正面から答えずごまかそうとしましたが、昨年の共産党市議団の予算要望に対する市長の回答を示し「『慰安婦』問題に対する認識が変わったのか、答弁を求める」との倉元市議の繰り返しの追及に「日本政府の考え方に賛同する」としぶしぶ答弁しました。
また、ミサイル訓練、BPO問題、釜山市への圧力など、一連の問題について、起案や決裁を係長や課長、局長だけで行っていることも倉元市議の質問で明らかになりました。どれも市政の重大問題にもかかわらず、市長の決裁がひとつもないことについて、倉元市議は「部下に責任を押し付け、自分は責任を逃れようとしている。卑怯な態度だ」と厳しく批判しました。