12月議会反対討論
私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第216号ないし219号、222号、224号ないし228号、230号ないし233号、235号、241号、248号ないし254号、256号、259号ないし263号、265号、266号に反対し、討論を行います。
まず、議案第232号「福岡市健康づくりサポートセンター条例の一部を改正する条例案」および議案第233号「福岡市保健所及び保健センター条例案」についてです。これらの議案は、現在7区全てにある保健所を廃止し中央区舞鶴の健康づくりセンター「あいれふ」に「一元化」、つまり保健所を統廃合するためのものです。
市長は「保健所の一元化で広域的機能と専門的機能が強化される」と言われました。しかし、広域的機能というなら、各区の保健所を残したうえで、感染症の拡大時などに連携してスピーディーに対応できるような組織強化こそ求められています。一か所に統合することで強化されるというのは机上の空論であると言わねばなりません。また、専門的機能というなら、医師や保健師などの専門家の配置や人員体制・組織体制の充実こそが求められております。かつて、1990年代後半から進められた保健所再編と言う名の統廃合によって保健所の箇所数が減った全国の自治体は、コロナ禍において大きな混乱が起き「救えるはずの命が救えなかった」という深刻な事態を多数生じさせました。本市においては市長が体制の強化をまともに行わなかったために各区の保健所業務がひっ迫したものの、各区の実情に応じた感染拡大防止や感染者のケアに尽力することができたのです。今回の保健所統廃合を強行することは、機能強化どころか逆に機能を維持することさえ難しくするものであり、コロナ禍の教訓を全く見ない愚策であります。また、市は「サービス低下にはならない」と言いますが、例えば精神保健福祉の業務について、区役所に窓口が残ったとしても措置入院が必要な場合の手続きは保健所でしか行うことはできないなど、以前よりサービスが低下することは明白です。機能強化だと言いますが、その真の狙いは、合理化と人員・経費削減を進めることに他ならず、現瞬間は各区に窓口を残すと言っていますが、今後はどうなるかわからず、いつまでも窓口が残る保証はありません。
そもそも、これらの議案については、その進め方も問題であります。市民の命と健康を守る拠点といえる保健所のあり方については全市民的な問題であり、市長の判断だけで決められるものではない、きわめて重要な案件です。それにもかかわらず、パブリックコメントを行うなど市民意見を聞くこともせず、保健所運営協議会や保健福祉審議会などの専門的機関にも一切諮らず、市民の代表たる議員には議会開会1週間前の12月4日にしか知らせませんでした。この点についてわが党が委員会で質したところ、市役所内部の組織改編であり、事前にはかる必要はないと苦し紛れの答弁をしましたが、まったく理由になりません。このような重要案件を議会直前に知らされても、短期間で多様な市民意思を把握することは非常に困難であり、議員としての役割を果たすことができません。議会としてこのような進め方を認めることは、自らの存在意義を否定する行為であり、二元代表制を壊すことにつながりかねません。この問題を知った多くの市民が怒りの声をあげており、議案撤回を求める動きが短期間で広がっております。また、連日、議会傍聴にも駆けつけておられます。
したがって、市民無視、議会軽視で強引に進め、市の保健福祉行政を大きく後退させることにつながるこれらの議案について、わが党は怒りをもって反対いたします。
次に、議案第248号ないし254号の老人福祉センターの指定管理議案についてです。本議案は市内7区に設置されている老人福祉センターの入浴事業を廃止することを前提に、施設整備を行う期間として2年間だけ管理を行わせるという異例の指定管理議案であります。
センター利用者の約4割が利用している入浴事業は、コロナ禍で休止に追い込まれたものの、再開が心待ちにされている状況でした。しかし、市は利用者に相談もせず、「老朽化」や「機能強化」、「家庭の風呂設置率が向上した」ことなどを理由に入浴事業を再開しないまま廃止することを決め、各センターで告知まで行っています。わが党が議案質疑で入浴事業は家庭の風呂の肩代わりというものではなく、交流や健康づくりの場であり、物価高騰のもと、無料で入れるお風呂のニーズは高まっていると指摘しましたが、こともあろうに局長は「高齢者実態調査」の結果を持ち出して入浴事業のニーズは高くないなどという珍答弁をおこないました。この調査は無作為抽出した市内在住の高齢者などを対象としたものであり、そもそも回答した方の多くは老人福祉センターに入浴事業があることを知りません。入浴事業のニーズを不当に低く見せるためのつじつま合わせとしてこの調査を持ち出したにすぎず、あまりにも姑息なやり方であると言わなければなりません。調査をするというのならば、老人福祉センター利用者を対象としたニーズ調査をするべきであります。このまま入浴事業を廃止すれば、老人福祉センターの利用者が激減する可能性があり、今後センターそのものを廃止に導くことにつながりかねません。
また、この問題も保健所一元化と同じく、利用者にも市民にも意見を聞かず、議会には3か月前に突然報告しただけで強引に進められており、言語道断です。利用者の中で「こんな決め方はあり得ない」と怒りが広がっており、昨日、入浴事業廃止撤回を求める請願署名も提出されました。老人福祉センターの指定管理は入浴事業を含むものにあらため、直ちに再開すべきです。よって、わが党は事業廃止を前提とした今回の関連議案すべてについて反対いたします。
次に、議案第216号「令和5年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)」のうち、わが党が賛成をするものについて意見を述べておきます。
一つ目は、物価高騰緊急支援給付金についてです。今回の補正は、先日閉会した臨時国会において物価高騰対策として可決された非課税世帯に対する1世帯7万円の給付金を本市において実施するためのものです。市民の暮らしが困窮する中、せめて年が越せるように年内に給付してほしいと多くの市民が待ちわびていますが、市は「急ぐ」といいつつも年内支給は考えておらず、それどころか年度をまたいで4月以降になっても良いというスケジュールです。さらに、今回も約6億円もの委託料を支払って大企業に大規模業務委託をしておりますが、たびたびわが党が指摘しているように、業務従事者を低い賃金で働かせることで、市が自ら貧困を再生産しようとしていることは重大です。詐取事件などの不当案件が全国で続発している大規模業務委託はもうやめるべきです。また、物価高騰のもとで多くの市民が困窮しており、今回対象となる非課税世帯だけではなく、すべての困窮している市民を応援するために保険料や上下水道料金等の減免・支援金の給付など市独自の支援策を行うべきです。
二つ目は、介護・障がい者施設等への光熱費・食費支援事業、並びに保育所等への光熱費支援についてです。異常な物価高騰が続き、市内の介護施設や障害者施設、ならびに保育所は引き続き大きな打撃を受けています。今回の補正では、介護施設と障害者施設へは光熱費と食費について、保育所には光熱費について、価格高騰相当分を助成するとしていますが、物価高騰の影響をカバーできるものに全くなっておらず、きわめて不十分です。予算を増額し、物価高騰の影響をすべて補えるものにするべきです。
三つめは、中小企業等への光熱費支援についてです。この補正は物価高騰により影響を受けた市内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用を支えるため、燃料費と光熱費について価格高騰分の一部を助成する事業として今年1月から9月までの分を対象としていたものを継続するものです。事業の継続については歓迎しますが、物価高騰は燃料費や光熱費だけではなく、原材料費や建設資材の高騰も業者を直撃しています。したがって光熱費に限らず、資材や材料の高騰にも対応できるように助成の対象を広げることが必要です。また、インボイス制度の導入やゼロゼロ融資の返済など、中小企業・小規模事業者をめぐる状況は困難を極めています。地域経済を活性化するためにも、市として予算も確保し、中小・小規模事業者支援を抜本的に強めることが今こそ求められているということを指摘しておきます。
以上でわが党の反対討論を終わります。